Eris in Wonderland Blog

「エリス・イン・ワンダーランド」はしぶとく続くよ。かわいくて邪悪なお写真ブログ。

「母性」を咀嚼し、「少女」を生き続ける、一匹の蚕。写真家の花代さんのこと。

写真家で現代美術家花代さんのことは昔から好きだった。彼女のすべての作品を追えてないが、その不思議な少女性に魅了されてきた。先日、森岡書店銀座店での展示会を観た。以下は、私の印象です。
 
 
落ち葉が敷き詰められている、
詩が朗読されている、
鳥かごに石膏のマスクとドライフラワー、
溶け落ちるヌテラ
サンローランの赤いハイヒール、
使い古したバレエシューズ、
水色の小窓、
娘を描いた?娘が描いた?ドローイング、
ドイツ公共交通のパスのようなもの、
寺山舞台のチラシ、
手作りのカセットテープ、
映写された写真、
誰かの手紙、
ピンクのスパンコール、
手描きの蝶々、
小さな鼓、
不気味なグローブ。
吐き出されたモノクロの生糸に絡め取られた記憶、
アニエス・ベーからの花束さえも取り込まれて。
透明な空間に織り上げられたひとつの繭=彼女だけの不思議な物語。
とても切ないのに、なぜか美しい。
摑みどころがなくて、はっきりと見ることができないのだけれど、どうしても惹き寄せられてしまう、花代さんの「世界」。
彼女は、夢や虚構を現実に着地させる力を持っているのではないか、とふと思った。
 

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会場で購入した写真集『かげろうのやうに』+81publishers発行。
 

ZINEのこと

ネット黎明期の1999年から写真を文章と組み合わせたものをネットで発表してきました。私の昔のサイト「Eris in Wonderland」をご覧になっていた方は、私がネットアイドルと呼ばれていたことをご存知かもしれません。いまそのサイトは停止しています。見に来て下さる方々の愛あふれる個性的な反応が嬉しくて、私はサイトを更新するたびにワクワクする気持ちを感じていました。

 

あのころのワクワクが忘れられない私は、新しいことをはじめてみたい気持ちになりつつあります。そこで、ひとりでZINE(自作の冊子)を試作してみました。ネット空間と印刷物。すこしかたちは変わるけれど、写真と文章を自由に詰め込むことは楽しい作業だということを再確認しました。どんなものを作りたいかというと、自分があとから読み返した時に恥ずかしくないもの、です。とても低い目標ですが、自分が納得するものを作っていけたらと思います。

 

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 ↑ ZINE試作品。印刷の具合や紙の手触りをチェック。

 

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 ↑ とりあえず、このBlogの引用をベースに制作。

 

f:id:erisinko:20151001234739j:plain ↑ 印刷や製本は業者に注文、レイアウトもテンプレートから選んだだけなので、小綺麗にまとまりました。

 

自分で仕様を考えてレイアウトを組んだり、印刷製本するということになれば、今回とはまるで違ったものができるかと思います。たとえば、印刷は粗いけれど手作り感のあるもの、写真印刷のクオリティを重視したもの、テキストをメインとしたサイズの小さなもの、など色んな可能性がありますね。流通の方法を含めて計画することがたくさんありそうです。さて、どんなものを作ろうかな。

 

 

ロンドンのリバティと心斎橋の大丸

mainichi.jp

 

Midori Fujisawa on Twitter: "1924年に建てられたリバティ(ロンドン)も、売り場狭いけど現役で働き続けている。大丸心斎橋店も建て替え以外の道を探るべき。@mietai8 大丸心斎橋店:「芸術的価値が高い」壊さないで @aya19seam770113 http://t.co/RbEWjeS4c3"

 

Twitterでは、ロンドンを代表する歴史ある建造物リバティ百貨店と比較するかたちで、大丸心斎橋店の保存を訴える声が多く見られた。

 

リバティ百貨店 - Wikipedia

 

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これは、昨年のLibertyリバティ、ロンドン。
世界中の人々をうっとりさせ続けている老舗百貨店。美しい英国そのもの。外観も内装も商品も!

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リバティのお花屋さんの前で。

 

 

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これは、すごい昔の大丸、心斎橋。階段のところで。
はじめて足を踏み入れた時、あまりの美しさにきょろきょろした。見上げてみたり、細部に目を凝らしたり。素晴らしい建物だと直感。それからヴォリーズ建築のファンになって現存する各地の建物を多く見た。

 

大阪の歴史の中で姿を変えながらも、たくさんの人の胸を打ち続けてきたこの素晴らしい百貨店の建物を、素敵なかたちで残し続けて欲しいと思う。修繕・保存・復元をする場合の建築コストはあまりにも高くて、建て替えをしたほうが安くて手軽なのかな。でも、ぴかぴかで高層の建物などは阿倍野や梅田にあるのだから、わざわざ似たようなものを心斎橋に作ることはないのに、と素人の私は思ってしまう。

 

 

すべての手紙/すべての記録されたもの

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99年あたりからインターネットをうろちょろしてるエリスだけど、波の様子はずいぶん変わっちゃった。それでも探せば、アリス的世界はまだあるよ。ローカルネットワークとリモートネットワークに挟まれた時空に、誰でもアクセスできるワンダーランドが残っているよ。そこには神殿もあれば、神社もある。お茶会も裁判もやってるし、ロリータだって加害者だっているもんね。

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 もちろん、かわいい手乗りインコちゃんもちゃっかりいます。埋葬しても埋葬しても、その場所を掘り起こそうとするインターネットの大波があるけど、私はさほど気にならないの。なぜなら、ご機嫌さんのインコちゃんが大きい声でしゃべりどおしだから、肝心の波の音が聞こえないのよ。

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インコちゃんの日課は、三次元とネット次元の境界をバサバサ飛ぶこと。フライトの軌跡は、ネットのフラクタル次元の断面にホロ-グラム(すべての手紙)となって美しく貼り付いていることが、エリスによって確認されています。そこには、かわいいインコちゃんが楽しく生きていた全歴史が記録されていたよ。つまり、インコちゃんから人間へ宛てた直筆のお手紙ってことなの。ネットワーク環境さえあれば、誰でも接続できるのが嬉しいね。虹色レターは、今日もキラキラ輝きながら、ワンダーランド経由で更新されているのよ。

エリスのプロフィール

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田中エリス:1999年よりウェブサイト「エリス・イン・ワンダーランド」にて活動を始める。詩集は現代詩手帖共同通信で取り上げられた。著書に『かわいいホロコースト』(ミッドナイト・プレス2003年)など。

レディバード、統治せよ

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つづき

 

打ち鳴らされる鐘の音がきこえても、

十字架の前へ堂々と歩み出るのよ。

王宮の外へ向かって、いつでも微笑んで。

大切なことは、

噛み跡や

血の痕跡を

跡形もなくきれいに消し去ることよ。

もちろん、覚えている者の記憶も全部消すの。

どうしても消せない場合は、

機が熟すのを待つ。

いずれ記念式典とか祝事で上塗りすればいいわ。

さあ、手順はだいたい分かったわね。

エリスの指で知恵を得た

恐るべきてんとう虫さんがいま離陸するよ。

あなたは悪い虫ね!