もう20年も前の話よ。ここに来たときのことをハッキリ覚えているわ。夏のまだ朝早い時間だった思う。紋章が刻まれた威厳たっぷりの黒い柵越しに、赤いレンガの宮殿があって、手入れの行き届いたお庭が見えた。
すると・・・お庭のすぐそこに、ぴょんぴょん飛び跳ねている子がいるではありませんか!なんてかわいいんでしょう!一羽だけじゃない、二羽はいたよ。柵の間から逃げられそうで逃げることがない、銀色の毛並みの、世にも美しいうさぎちゃん!
朝陽のせいだったのかな、うさちゃんは銀色に輝いて見えました。イングリッシュガーデンの植物は、朝露の中でみずみずしく茂っていました。
つづく